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straysheepのなにか好きなもの

フィギュアスケートと読書と映画と雑貨といろいろ、について

女の子って大変 柚木麻子『王妃の帰還」

読書感想
学校は違えど、私にも学生時代があったので、わあぁっていうか嫌なことも思い出しちゃったというか、けれどもすごく共感できる部分がたくさんある物語でした。
カトリック系の名門女子中学校に通う範子は、いわゆるグループカーストでは下位に所属するグループで周囲に気を使いつつも楽しい学生生活を送っていた、のに!
グループヒエラルキートップ、その中でもてっぺんに位置した『王妃』がある事件により失墜し、クラスは騒然。
そして、その『王妃』が範子たちの地味子グループに入ることになったとあって、いろいろグループ内でも軋轢が。

また『王妃』がただの美しい女の子のあだ名かと思ったら、フランス王妃マリー・アントワネットなみのワガママ、空気の読めなさをもつ少女。
範子はずっとその少女に憧れていたから、なんとなく許してしまう…のだけれど、範子が『王妃』との仲を縮めるほどに、今までの親友との距離があいてしまう。
『王妃』のことや華やかなグループの少女たちを批判的な目で見てたこともあるけれど、自分だって相手の気持ちに気がつかず、自分のことばかりになってしまうことに気がついたり、中学生の少女の友情と成長譚にもなっていて、あっというまに読めました。

範子が歴史が好きだから、この王妃の失墜事件もフランス王妃マリー・アントワネットの有名な首飾り事件に例えてみたり、クラス内グループの下克上のような様もフランス革命やアンシャンレジームの旧体制に重ねて、そんなところも面白かったです。

グループヒエラルキーについて書いて有名になったのは『桐島、部活やめるってよ』だと思いますが、その前に微妙なその空気について綿矢りさ蹴りたい背中』の中でも触れているように、ここ何年かでグループヒエラルキーについて語られる作品も多い。
大好きな『百瀬、こっちをむいて。』も人間レベルで主人公が人を測っていたし…

私の時代もあったけれど、そこはかとなく、「派手な(華やかな)グループ」「ふつうのグループ」「地味な(オタク風味な)グループ」と別れていたけれど、今ほどはっきりしていなかったかも。
アメリカ映画みたいなグループ別のイザコザとかみて、ほえーって思ってたな。

大変だけど、恥ずかしいことたくさんしたけれど、理解しようと努力したり触れ合って苦手な子とも案外仲良くなれることがわかったり、若い頃っていいなあって今は思います。

『王妃の帰還』のラストも清々しいほどの明るさ。
名前を呼ぶラストシーンは、とても素敵で余韻も残りました。

女の子って大変、というより、この年代や年頃が大変、なのです。