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『百瀬、こっちをむいて。」という台詞が心に染みる理由

このたび、角川文庫のアンソロジー『サイドストーリーズ』を購入。
私の大好きな、『百瀬、こっちをむいて。』の番外編が掲載されていたからです!
主人ノボルの友人、田辺くんが主人公でした。

そして、『百瀬、こっちをむいて。』は中田永一の書いた切なく淡い恋物語
白い表紙に、『百瀬、こっちをむいて。』のタイトルだけ。
この素敵な表紙に惹かれました。  

百瀬、こっちを向いて。

周知の事実ですが、中田永一って乙一なんですね。
私は最近その事実を知り、少しづつ乙一の作品も読み始めました。
作風が全く異なる…ので、中田永一から入った私は少々(恐怖で)引き気味ではあるけれど、文体は好みなので(そりゃ同じひとが書いてるから文体だって同じ!)、そのうち全部読みたいなぁ。

主人公のノボルは、自分を人間レベル2に属する冴えない高校生と自認しながら高校生活を送っている。
ある時、人間レベル90以上の幼じみの先輩の頼みで、先輩の2番手の彼女である、同級生の女の子の偽装彼氏になることになってしまう!
先輩の彼女へのカモフラージュで、2番手彼女の百瀬  陽と偽装カップルを演じダブルデートしてるうちに、ノボルは彼女にどんどん惹かれ、報われない恋に心が揺れる…

「こんなに苦しい気持ちは知らなければよかった」と激しく後悔しながら苦しむノボルに、同じ人間レベル2の友人、田辺くんがかける言葉がまたいいのです!
レベルなんて関係ない。本当に素敵な友達だな、って思いました。

ハイライトはラストシーン。
ちょっとネタバレになります。

偽装カップルが破綻した後も、ノボルは百瀬と友達で、百瀬はノボルの友達の田辺とも仲良くなり、その後も親交はあったっぽい描かれ方です。

ラストシーンは大学生になったノボルの回想場面から、高校卒業の日。
実は百瀬が好きだと話すと、照れからか怒る百瀬は「今更」とそっぽをむいてしまう。
そのとき、
「百瀬、こっちをむいて。」
とノボル話すと呼びかけます。
ノボルの百瀬を呼ぶ声は、きっと柔らかく優しい声のはず。
照れる百瀬もノボルを好きになっていたんじゃないかなぁ、なーんて。
なんだか幸せな気持ちになれる、大好きな場面です!

ちなみに、去年映画化した際は、桃色クローバーを脱退した早見あかりちゃんが、野良猫みたいな百瀬を魅力的に演じていました!

百瀬、こっちを向いて。

映画と原作のあらすじはだいたい同じだけど、設定などがちょっと変わっています。
受ける印象が原作の方が幸せを感じ、映画の方が切ない。
ラストの違いのせいでしょう。

『百瀬、こっちをむいて。』は併録のほかの短編も秀逸。

  • なみうちぎわ
  • キャベツ畑に彼の声
  • 小梅が通る
の4編からなる短編集です。
私は『百瀬、〜』の次に、『小梅が通る』が断然好き!
どのお話も少女マンガちっくだけれど、切なさは『百瀬、〜』、ハートウォーミングなのは『小梅が通る』なんだな。

どの作品も瑞々しい魅力があり、何度でも読みたくなります。