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straysheepのなにか好きなもの

フィギュアスケートと読書と映画と雑貨といろいろ、について

ベリーベリーストロングな伊坂幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」

読書感想
斉藤和義の楽曲に「ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜」という曲があり、その原案となったのが「アイネクライネナハトムジーク」の中の最初の1編「アイネクライネ」です。

斉藤和義伊坂幸太郎に作詞を依頼したら、作詞はできないけれど、ということで短編を書いたようです。

アイネクライネナハトムジーク

アイネクライネナハトムジーク

その「アイネクライネ」を斉藤和義さんが歌詞にしたのを読んだら、伊坂さんの短編をきゅっとまとめてみました的なもので、聴いてみたくなりました。

伊坂さんお得意の連作短編集で、「アイネクライネ」のほかに、「ライトヘビー」「ドクメンタ」「ルックスライク」「メイクアップ」「ナハトムジーク」の5編から成っています。

通して読むと全ての登場人物が繋がっていた!という、いわば予定調和な物語。
けど、私は大好き。

特に今回の短編集は、いつもの伊坂さんよりハートフルで愛がある。

私がいいなぁと思ったお話は、「アイネクライネ」と「ドクメンタ」。

「アイネクライネ」はマーケットリサーチ会社に勤める主人公・佐藤が、アクシデントでデータが全て消えてしまったため、街頭アンケートで穴埋めしているときのお話。
行く人行く人に相手にされないときに、ある女の子がアンケートに応じてくれる。その女の子のことが気になりつつも日々過ごしているとひょんなことから再会する、というお話。
ささいなことでもベタでも、その出会いは大切だな、と微笑ましい気持ちになるお話でした。

ドクメンタ」は「アイネクライネ」で佐藤が街頭アンケートをやらされる羽目になった原因を作ってしまった、同じ会社の先輩、藤間が主人公。
突然妻(と娘)に出て行かれて動揺してデータを消してしまってから半年後。
車の免許更新で出会った女性との、5年に一度出会う10年毎のお互いの生活の変化。
銀行の通帳記帳が素敵な役割を果たします!

ひとつ気になることが。
「メイクアップ」のなかに、主人公の結衣を高校時代にいじめていた女性が出てくるのですが、彼女のその後はどうなったの?ってところです。
ふた通りの未来が提示してあり、どっちだったのかなあ、なーんて。
全体を二度読み直したけれど、やっぱり触れてなかった。
伊坂さんの小説のことだから、また他の登場人物がリンクする物語でひょいっとその結末が記されているかもしれない楽しみもあるかな!

この本の帯には
ごく普通の人たちが巻き起こす、小さな奇跡の物語
って書いてありました。
いいなあ!
小さな奇跡とか、ささやかな幸せのお話が大好きです。
小さな奇跡かもしれないけれど、みんなほんのりしあわせに生きてゆくのが素敵。

それにしても、読んでいるあいだ中ずっと、LRの「アイネクライネナハトミュージック」が脳内をぐるぐる巡っていました。
内容は全然かぶってないけど、タイトルが似ているから?
私って単純だな、と再確認。
ちゃんと聴きたくなって、LRの「Doubt」を探して、今夜の夕食を作りながらずっと浸ってしまった。
ささやかだけど小さな幸せ。