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思えば遠くにきたものだ 北村 薫「太宰治の辞書」

もう、シリーズは終わったものと思っていたところに、北村薫「円紫さんと私」シリーズ(「私」シリーズ)の最新刊が出版されました!

東京創元社から新潮社へと版元はかわったものの、装画も高野文子さんのままで登場。
 
「空飛ぶ馬」からはじまり、あの時「私」は早稲田大学の1年生だったはず。
「夜の蝉」「秋の花」「六の宮の姫君」、「朝霧」では出版社に勤務していた。
それがもう、いつのまにか結婚、出産し働くお母さんに。
「私」の恋愛やお母さんぶりは想像できず、今回の「太宰治の辞書」の中でも子供(男の子)のことがちらりと触れられる程度。(旦那様に至ってはほぼ登場せず、、)
何年経っても本を愛し、興味はつきない「私」は、そういうことに理解ある旦那様を得てとても幸せそう。
 
さすが日常の謎の始祖とでも言おうか、今回も文学的な謎を解いて行く。
 
短編3つ、で円紫師匠や正ちゃんも登場。
 
芥川龍之介「舞踏会」の花火、太宰治「女生徒」のロココ料理、円紫さんとの会話から誘われて太宰治の辞書へと謎を追いかけて行く。
 
私はこんなふうに深く掘り下げて読んだことがあったかな、、
ひとつの謎を追いかけて他の小説、談話、辞書と追って調べ、答えを探す。
 
まだ「私」が卒論を書く大学4年の「三宮の姫君」を読んだときに、やはり文学の謎を追い解くことはなんて面白いんだろう、と思ったのを思い出して、今と同じことを感じた若い私が懐かしい。
あの頃は私も解きたいと思ったけれど、今は読むだけでもいっぱいいっぱいで情けない限り。
 
はじめていわゆる"日常の謎"というジャンルを手にしたのが、北村さんの「空飛ぶ馬」で、そこから加納朋子さんや坂木司さんへと世界を広げてくれた、私の中の記念すべき「私」シリーズは、時を経てもまだ私にいろいろ教えてくれる。
 
それにしても、最初に読んだのが創元推理文庫、「空飛ぶ馬」で、18歳のとき。
「私」も私も、だいぶ遠くまで歩いてきたものです。 

太宰治の辞書

太宰治の辞書