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小山薫堂 「恋する日本語」

恋する日本語 (幻冬舎文庫)

恋する日本語 (幻冬舎文庫)

30分とかからず読み終わった、7行くらいの物語が35編入っています。短いけれど、どの1編にも心の奥がツンとするような切なさがありました。

たとえば、
あえか=はかなげなさま。
気宇=心のひろさ。
忘れ草=心配や心の憂さを吹き払うもの。
など、うっとりするような言葉、でもなんとなく意味がわからないような言葉を詩のような短い物語のなかにあらわしています。

またその物語がなぜこんなにというほど切ない気持ちにさせられる。

どのお話も素敵に切なく、大好きですが、とくに特に気に入っているのは「恋水」というお話。

意味は、恋のために流す涙。

ある女性が別れ話のためにカフェで彼を待っていて、今日は絶対泣かないと決めていたのに、到着した彼の車を見ただけで涙がこぼれそうになるお話なんだけども、なぜ今日別れ話なのか、どちらから別れを切り出したのか、切り出すのかなど詳細はない。けれど、彼をみて涙がこぼれる彼女の情景を思い描くだけで、悲しくて泣きそうになる。

理由や状況の説明がなくても、好きなひととの別れに関わらず、恋をしたことのある人ならその時の気持ちを瑞々しく思い出してしまう、、

小山薫堂さんの力がすごいのでしょう。脚本家だからこそ、なのかなぁ?

この、読んでいてその場面をリアルに思い浮かべることができるのって、すごい。

どこにでもあるシチュエーションだったりするけれど、その分シンパシーを感じてしまう。

日本語って素敵だな、とそんな気持ちにもさせてくれる1冊でした。